夏のコミックマーケット の数日後、買い逃したサークルの新刊が「BOOTH 通販」として並ぶ。サークルが在庫の残りを自分のショップに登録し、自宅で梱包し、自分で発送する。即売会場の延長として、夏の終わりからしばらくのあいだ、自宅のポストに同人誌の封筒が届き続ける。
BOOTH(ぶーす)とは、ピクシブ株式会社が 2013 年に開始した、個人クリエイター向けの EC・通販プラットフォームの名称である。本項では成立経緯、同人文化との結びつき、DLsite ・とらのあな との関係、アダルト表現の扱いを扱う。
概要
BOOTH は、個人クリエイターが自分の店舗(ショップ)を無料で開設し、物理商品・ダウンロード商品・倉庫サービス経由の商品の三形態で販売できるプラットフォームである。物理商品(同人誌・グッズ)は出品者が自宅梱包・発送するセルフ発送、もしくは BOOTH 倉庫に在庫を預けて発送代行を依頼する「あんしんBOOTHパック」が選べる。
ダウンロード販売は、デジタル作品(イラスト集・写真集・素材集・同人音声・同人ゲーム など)を直接配信する形態である。決済はピクシブ社が一括で処理し、月次でクリエイターに支払う構造になっている。
成立経緯
2013 年の開始当時、個人クリエイターが 同人誌 や創作グッズを通販する手段は、(1) とらのあな ・メロンブックス などの委託書店、(2) サークル自身のウェブサイトと郵便振替、(3) DLsite などのダウンロード専門サイト、に大別されていた。これらは委託審査が厳しく、または個人で運営の手間が大きい構造があった。
pixiv はイラスト投稿 SNS としてすでに同人作家層を抱えており、これを物販基盤に接続する目的で BOOTH を立ち上げた。ピクシブ ID でそのままショップを開設でき、pixiv のプロフィールから BOOTH への導線を確保する設計が、同人作家の即時参入を容易にした。
同人文化との結びつき
BOOTH は、コミックマーケット を頂点とする同人即売会文化と相補関係にある。即売会で配布する新刊の残部を BOOTH で通販し、地方在住で参加できない読者の需要を吸収する用途が広く根付いた。新刊は即売会で先行頒布し、翌週から BOOTH 通販を開始する流れが、現在の同人作家の標準的な販売スケジュールとなっている。
2020 年のパンデミック下では、即売会の開催中止・規模縮小が続き、BOOTH を含むオンライン通販基盤の重要性が大幅に高まった。同人誌の販路として、書店委託(とらのあな・メロンブックス)、BOOTH、DLsite が三大基盤を形成する構造が定着した。
アダルト表現の扱い
BOOTH では年齢制限商品(R-18)の販売が認められており、出品者は商品ごとに「年齢制限あり」を設定する。閲覧側は年齢確認ダイアログを経て年齢制限商品にアクセスする。性器の修正基準は pixiv 本体・同人誌即売会 と同等で、わいせつ 概念に抵触しない範囲での描写が許容される。
2022 年から 2023 年にかけて、クレジットカード国際ブランドからの審査強化を受けて、FANBOX と同様にアダルト表現の運用が見直された経緯がある。具体的には特定のジャンル(児童の性表現・実在人物の性的二次創作など)が販売不可となり、出品者の反発を呼んだ要出典。
経済的役割
BOOTH は、同人作家・個人クリエイターの「自宅から直接ファンに販売する」基盤として、クリエイターエコノミーの一翼を担っている。販売手数料は商品売上の 5.6 パーセント + 22 円(2024 年時点)で、書店委託(20 パーセント前後)に比べて低率である。
そのため、書店委託と BOOTH を併用するサークルが多く、書店流通から漏れる地方読者・コア層を BOOTH 直販で取り込む使い分けが行われる。同人作家の主要収益は「即売会即売 + 書店委託 + BOOTH 直販 + FANBOX 月額支援」の四本立てで構成される構造が定着している。
関連項目
最終更新
参考文献
- 『BOOTH 利用規約』 ピクシブ株式会社 https://booth.pm/terms_of_service
- 『BOOTHのご紹介』 pixiv株式会社 (2013) https://booth.pm/
- 『現代視覚文化研究 同人誌即売会論集』 三才ブックス (2019)
別名
- BOOTH
- ブース
- pixivBOOTH