母親が再婚した相手と、初めて同じ家で暮らす日。「これからよろしく」と挨拶する相手は、血縁関係のない父親役の人物である。家族としての日常生活は始まるが、相手は家族の様式と外見を備えた他人であり、当該の二重性は同居開始の最初の夜から空気の中に常駐する。同様の構図は継母・義姉・義兄等の派生形態にも共通する。義理の親系は、家族としての近接性と血縁不在の自由を同時に保持する関係性配置を、性愛文脈に転換した嗜好の包括カテゴリである。
義理の親系(ぎりおやけい)とは、義父・継父・義母・継母等の非血縁の擬似家族関係を性愛文脈で扱う関係性嗜好の包括的カテゴリである。法的・社会的には親子関係として扱われるが、生物学的には他人である関係配置を中核とする。当該配置は、家族としての近接性(共住・生活共有・呼称・社会的役割)と血縁不在の自由(性的接触における生物学的タブーの不在)を同時に保持する両義的関係性として、サブカルチャー領域の物語類型の中核軸のひとつを形成している。
概要
義理の親系の中核は、家族関係の社会的形式と血縁関係の生物学的事実の乖離が生み出す関係性の両義性である。婚姻による親族関係(配偶者の親への姻族関係)、再婚による継父母関係、養子縁組による法的親子関係等、当該カテゴリには複数の法的・社会的形態が含まれる。それぞれの形態は社会的に「家族」として扱われるが、生物学的には他人としての関係を保持する。
物語類型としては、当該属性は典型的に複数の物語段階を持つ。第一段では「家族関係の確立」が描かれる。再婚・婚姻・養子縁組等の出来事を起点に、相手と家族としての日常生活が開始される。第二段では「家族関係内での性的視点の発生」が描かれる。共住生活の中で相手の身体的・性格的特徴に性的視点が向けられ、家族としての位置と性愛対象としての位置の二重性が認識される。第三段では「関係性の越境」が描かれる。性的接触が成立する場合と、しない場合の両方が物語的選択肢として提示される。
当該属性は寝取られ・タブー越境・近親類似性等の周辺主題と頻繁に組み合わされる。義理の親系作品では、当該の関係性配置を「禁断の関係」として描く演出が定型化しており、社会規範的タブーの存在が物語的劇性を構成する装置として機能する。一方、当該タブーは生物学的近親相姦のタブーとは異なり、社会的・形式的タブーである点が、当該属性の固有の構造的位置を確保している。
語源
「義理」(ぎり)は前近代日本語に存在する一般語で、「血縁ではないが家族として認められた関係」を意味する。「義理の母」「義理の父」「義理の兄弟姉妹」等の複合表現として運用され、近世以降の日本社会における家族構造の一部を構成してきた。「継」(まま)は同様に「血縁ではないが親として認められた関係」を意味する語で、「継父」「継母」等の派生語を生んだ。
サブカル領域における「義理の親系」「義父」「継母」「継父」等の派生語は 1990 年代以降のエロゲ・エロ漫画文脈で属性タグとして整備された。当該時期の作品群が再婚家庭・婚姻家庭を舞台とした物語を量産し、当該舞台設定を「義理の親系」として括る用語が確立した。
英語圏では step-parent・in-law 等の対応語が存在し、対応する物語類型(stepmom genre・stepfather scenarios 等)が同様に発達している。日本のサブカル文脈における義理の親系は、英語圏の同類ジャンルと部分的に重なる範囲を持ちつつ、家族関係の儒教的規範性等の固有の文化的背景を持つ点で独立した展開を示してきた。
構造的形態
義理の親系には複数の派生形態が含まれる。
義母は、配偶者の母または継母を指す概念で、当該カテゴリの最も整備された派生形態のひとつである。再婚した父親の妻として登場する継母、配偶者の母として登場する義母が、「年上女性として家族関係内に位置付けられる」共通構造を持つ。
義姉は、配偶者の姉妹または継姉妹を指す概念で、家族関係内の年上女性として運用される。義母と類似の構造を持つが、年齢差が小さい点と、「姉妹」としての横の関係性を含む点で差異を持つ。
義父・継父は、再婚した母親の夫または配偶者の父親として登場する男性キャラクター類型である。男性向け作品ではあまり主流的ではないが、女性向け作品・BL領域では一定の運用形態を持つ。年上男性としての保護的役割と、血縁不在の関係性の両義性を組み合わせた物語類型として機能する。
義兄・継兄、義弟・継弟も同様に派生形態として運用される。家族関係内の同世代・近世代の関係性として、より身近な関係性配置を提供する。
構造的特徴
義理の親系作品の物語的中核は、家族としての日常生活と性愛関係の同居である。当該作品群では、家族としての朝食・夕食・洗濯・入浴等の日常場面と、性愛関係としての密室的接触場面が交互に提示される。両者の同居が引き起こす関係性の不安定化が、物語的劇性の核を成す。
舞台設定としては、家族の他のメンバーが不在の時間帯・場所が中核的舞台として運用される。「父親が出張中」「母親が入院中」「兄弟が学校に行っている時間」等の状況設定が、二人きりの密室的接近を成立させる契機として頻繁に運用される。当該舞台は寝取られ系作品の舞台設定と部分的に重なるが、義理の親系では家族関係の継続的維持が前提となる点で構造的に異なる。
成人向け作品領域では、当該属性は熟女系作品の中核を形成する。義母・継母は典型的に主人公より十~二十歳年上の女性として描かれ、年齢差由来の性的経験の差・指導的役割・成熟した身体性等の属性を併せ持つ。当該の年齢差は姉属性・幼馴染シチュ等の同世代関係性とは異なる固有の物語的劇性を生む。
受容心理
義理の親系の文化的吸引力は、家族関係の形式と血縁関係の事実の乖離が生み出す関係性の両義性に求められる。社会的・法的に家族として扱われる相手と性的関係を結ぶことは、家族関係の規範性を踏み越える越境的体験として演出される。当該の越境性は生物学的近親相姦のタブーとは異なる、社会的・形式的タブーの越境として機能する。
社会学的には、当該属性の流行は近代以降の家族構造の流動化と並行する。離婚・再婚の増加、ステップファミリーの一般化、婚姻形態の多様化等が、義理の親系の物語的素材を社会的に蓄積した。当該の社会的変化は、家族関係を固定的・絶対的なものとして扱わない物語類型の文化的支持基盤を形成している。
近年のエロゲ・エロ漫画・同人音声領域では、当該属性に特化した作品の供給が継続的に拡大している。再婚家庭を舞台とした物語、配偶者の親族との関係を扱う物語等が、サブジャンルとして安定的な需要を獲得している。同時に、当該属性は幼馴染シチュ・姉属性・寝取られ等の隣接属性と頻繁に複合化され、より精密化された物語類型として運用されている。
関連項目
最終更新
「義理の親系」の動画作品
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参考文献
- 『家族と性愛のサブカル文化』 新曜社 (2015)
- 『熟女ブームの構造』 三和出版 (2011)
- 『オタク用語の基礎知識』 宝島社 (2014)
- 『近代日本の家族と性』 勁草書房 (1990)
別名
- 義理親
- 継父
- 義父
- 継母
- step-parent type