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同人誌 の世界には、アニメや漫画のキャラクターではなく、現実に存在する芸能人・アイドル・スポーツ選手を題材にした二次創作の系譜が古くからある。「ナマ(生)+もの」と書いて「なまもの」、英語圏では RPS(real person slash)と呼ばれる、扱いの繊細さで知られる領域である。

生もの(なまもの、漢字「生もの」)とは、実在する人物・芸能人・アイドル・スポーツ選手などを題材にした同人 ・二次創作 を指す腐女子 コミュニティの隠語である。本項では成立、扱いの慎重さ、BLやおい 文脈での主流化、商業二次創作との区別を扱う。

概要

生ものの典型形は、(1) 実在する複数の人物(主にアイドル・俳優・スポーツ選手)を組み合わせてCP (カップリング)を設定する、(2) その人物たちが実際には関与しない物語・関係性を二次創作として書く、(3) 多くはBL または百合 の文脈で同性愛的関係性を描く、という構造である。

「生」は、虚構キャラクターでない「現実に存在する人」を意味する。アニメ・漫画の二次創作を「水もの」と呼ぶ対比から、生身の人間を扱う点を強調して「生もの」と称される。

扱いの慎重さ

生ものは、本人やその所属事務所との関係で名誉毀損・プライバシー侵害のリスクを孕む。日本の腐女子 コミュニティでは、生ものを扱う場合に厳格な暗黙ルールが形成されてきた。具体的には、(1) 検索除けのため作品タイトル・固有名詞を伏字化または隠語化、(2) Web 公開時はパスワード制・身内限定、(3) 本人および関係者の目に触れないよう徹底、(4) 公開イベントでのオープンな頒布を避ける、などである。

これらは、本人や所属事務所への配慮を最優先する文化的合意の表れであり、コミュニティへの新規参入者には先輩から伝授される暗黙の作法として機能する。違反者は強い批判の対象となり、コミュニティから排除される事例もある要出典

BL 文脈での主流化

生ものは、特に腐女子 コミュニティのBL 二次創作で主流の一角を占めてきた。具体的には、(1) ジャニーズ系男性アイドルグループのメンバー間 CP、(2) K-POP 男性アイドルグループのメンバー間 CP、(3) スポーツ選手・俳優の組み合わせ、などが歴史的に大きなジャンルを形成した。

これらの CP は、ファン側が(現実の本人の意思とは無関係に)構築する妄想上の関係性として位置づけられる。本人たちが現実の友情・仕事仲間として写真に映る瞬間や、共演する場面を「ファン視点で読み替える」解釈の積み重ねが、CP の物語を形作る。

商業二次創作との区別

生ものは、商業出版・公式商品とは明確に区別される。商業出版での実在人物の性的描写は、本人の許諾なしでは名誉毀損で訴えられる蓋然性が高いため、公開頒布は二次創作の枠内に厳しく限定される。

漫画ゲーム のキャラクター(架空人物)の二次創作 は、近年では公式黙認・公認の例も増えているが、生ものは公式関与を伴わない私的領域として残存する。

海外との対比

英語圏では同種の創作を RPS(real person slash)または RPF(real person fiction)と呼ぶ。FanFiction.net など大規模ファンフィクションサイトでは、RPS は別ジャンルとして区分され、公開ポリシーが定められている。日本の生ものコミュニティのような厳格な検索除け文化は、英語圏ではやや弱い傾向にある要出典

関連項目

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参考文献

  1. 守如子 『腐女子の社会学』 東京創元社 (2013)
  2. ユリイカ編集部 『二次創作の地平』 青土社 (2007)
  3. 金田淳子 『腐女子文化史』 勉誠出版 (2017)

別名

  • 生もの
  • ナマモノ
  • RPS
  • real person slash
  • 実在人物二次創作
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