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人気のない海岸線、深夜の公園のベンチ、登山道の途中、誰も来ない河川敷の堤防。屋根の存在しない空間で交わされる行為には、屋内では発生しない物理的・心理的な条件が伴う。風が直接肌に当たり、地面の硬さと冷たさが背中を押し返し、空には星か曇天か満月がある。屋外セックスという行為類型の核は、自然環境と身体の直接接触が、行為そのものの感覚を書き換える点にある。

屋外セックス(おくがいせっくす、英: outdoor sex, al fresco sex)とは、屋根のない自然空間ないし公共空間において行われる性愛行為を指す。野外フェチが「屋外で行うこと」を志向する嗜好類型を指すのに対し、屋外セックスは行為そのものを類型化した呼称であり、両者は重畳しつつも機能的に区別される。場所と体位の組み合わせを主題とする行為論として、自然環境の物理的制約・公然性のリスク・自然との接触感覚という三つの要素から構成される。

概要

屋外セックスを規定する第一の物理条件は、屋根の不在である。屋内・ラブホテル車内等と異なり、屋外空間では天候・気温・湿度・日照といった自然条件が直接的に行為の遂行に影響する。雨天は実行を困難にし、夏季は虫害・熱中症リスクを伴い、冬季は寒気が制約となる。これらの条件が、屋外セックスを「タイミングを選ぶ行為」として性格づける。

第二の条件は地面である。地面の素材(草地・砂地・岩盤・コンクリート・砂利)が体位の選択肢を規定し、横臥位を選択する場合は地面の硬さ・温度・清潔度が直接的な不快要因となる。経験者は敷物(ピクニックシート・タオル・着衣の脱ぎ上着等)を用意するか、立位中心の体位を選択するか、地面に膝を着く体位を回避するかの選択を迫られる要出典

第三の条件は公然性である。完全な人気のない場所であっても、第三者の通行可能性が客観的にゼロになる場面は限られる。海岸であれば散歩者・釣り人、山林であれば登山者・林業従事者、公園であれば犬の散歩者・ジョギング者、河川敷であればサイクリスト・釣り人といった、各場所固有の通行者層が存在する。完全な無人を確保するには、時間帯・季節・地域選定の慎重な組み合わせが必要となる。

場所類型

屋外セックスの実行場所は、その性質により概ね五類型に整理される。

(1) 海岸・水辺類:海岸線・河川敷・湖畔・港湾施設の人気のないエリア等。砂地・岩盤等の地面条件、波音による聴覚マスキング効果、夜間の暗さによる視覚遮蔽が特徴である。夏季の海岸はナンパハメ撮り系のアダルトビデオ企画の定番ロケ地である。

(2) 山林・自然類:登山道周辺・林道・人気のないキャンプ地・自然公園の奥地等。地面の不整備・植生による視覚遮蔽・虫害・野生動物リスクといった条件が伴う。標高の高い場所では涼しさ・空気の清涼感が好まれる場合もある。

(3) 公園・人工緑地類:夜間の都市公園・郊外公園・大学キャンパスの人気のない区画等。ベンチ・東屋・遊具といった人工物を活用する形態が定型化している。都市内に位置する場合、第三者の遭遇リスクが他類型より高い。

(4) 都市の死角類:夜間の路地裏・閉店した商業施設の裏側・建物間の隙間・橋の下・地下通路の人気のない区画等。完全な屋外ではないが屋根が部分的にしか存在しない場所として、屋外と屋内の中間に位置する。

(5) 移動空間類:車内・電車内・船内・観覧車内・ロープウェイ内等。厳密には屋根のある空間だが、移動性と限定的な公然性により屋外類型と隣接して扱われる場合がある。

体位の選択

屋外空間における体位は、地面条件・周囲の植生・隠蔽性・気温などにより限定される。横臥位中心の体位は地面との接触に不快を伴うため敷物が必要となり、立位中心の体位は地面接触を最小化できる利点がある。実行頻度の高い体位群として、以下が定型化している。

立位後背位系は、女性が壁・木・手すり等に手を着き、男性が背後から接触する形態である。地面との接触面が足のみに限定され、敷物不要で実行できる。屋外セックス系のアダルトビデオでは最頻出の体位の一つである要出典

立位対面系は、女性を抱え上げる駅弁体位、ないし壁に押し付ける形での対面立位である。前者は男性側の負荷が大きく短時間に限定されるが、屋外の動的場面で象徴的に用いられる。後者は壁を要件とするため場所の選択肢が限定される。

騎乗位座位系は、ベンチ・倒木・大きな岩等の人工物・自然物を座面として活用する形態である。地面との接触を最小化しつつ横臥位に近い体勢を確保できる。

しゃがみ込み系は、女性が地面にしゃがみ、男性が背後ないし正面で行う形態である。地面接触が膝・足首に限定されるため、敷物なしでも比較的不快が少ない。

公然わいせつ罪との関係

日本における屋外セックスの法的位置づけは、刑法 175 条ではなく刑法 174 条(公然わいせつ罪)を中心軸として論じられる。「公然」とは「不特定または多数の者が認識し得る状態」を意味し、実際に第三者の目撃がなくても認識可能性が客観的に存在すれば構成要件を充足し得る(判例・通説)。

合意ある二者間の行為であっても、(1) 場所的に第三者の通行・視認の可能性がある、(2) その可能性が客観的に観察される、という条件が揃えば、刑法 174 条の構成要件該当性が認められる。判例においては、深夜の公園・無人と思われた駐車場・人気のない海岸等で、当該場所が「不特定者の認識可能性」を完全に排除できないとして有罪認定された事例が存在する要出典

加えて、軽犯罪法 1 条 20 号(身体露出)、各都道府県の迷惑防止条例、海水浴場・公園等の管理条例、自然公園法における自然保護規定等も問題となり得る。屋外セックス全般について、合意の有無を問わず公的に違法ないしグレーゾーンとされる点が、屋内行為との決定的な違いである。

アダルトビデオでの「屋外モノ」

アダルトビデオ業界における屋外モノは、長期にわたり安定した需要を持つ定番ジャンルである。野外モノとほぼ同義として運用され、撮影場所の屋外性を主題とする作品系列を指す。1980 年代後半以降のハメ撮り系隆盛と並走して定着し、現在に至るまで継続的に新作が供給されている。

藤木 TDC『アダルトビデオ革命史』(2009 年)は、屋外撮影が「素人感」「現実感」「逸脱感」の演出装置として機能してきた様相を記述する。スタジオ撮影の定型化に対する補完装置として、屋外空間の偶発性・非定型性が積極的に利用されてきた。

撮影現場の実態としては、ロケ地交渉・天候管理・通行人対応・速やかな撤収といった運用上の制約が大きい。業界内では「最も労力対効果の悪いジャンルの一」とも評され、撮影スタッフの負荷の高さが恒常的に指摘される要出典。一方、視聴者にとっては映像の「現場感」「ライブ感」が屋内スタジオ作品と異なる魅力として機能している。

受容心理

屋外セックス嗜好の核として、しばしば「自然との接触」「逸脱の演出」「発覚リスクの感覚」の三要素が論じられる。

自然との接触は、屋内行為では得られない感覚体験を提供する。風・陽光・水音・草の匂い・星空といった自然要素は、行為そのものの感覚的多様性を拡張する。完全な人気のない場所であっても、屋外という場の選択がもたらす感覚的開放は、室内行為と質的に異なる体験として位置づけられる。

逸脱の演出は、屋外空間が公共的機能(通行・休憩・散策等)のために用意されているという前提に対する、行為の例外性に基づく。本来の用途と異なる使用法という意味での「場違い感」「逸脱感」が、消費者・実行者双方に独特の興奮を与える論理として指摘される要出典

発覚リスクの感覚は、露出フェチの主題と重なる領域である。第三者の視線への露出を志向する場合は露出フェチの実装形態となり、純粋に屋外空間そのものを志向する場合は野外フェチの実装形態となる。屋外セックスはこの両者の交差領域として、複数の嗜好を同時に満たす構造を持つ。

文化的言及

文学における屋外セックスの表象は古典的に蓄積されてきた。D. H. ロレンス『チャタレイ夫人の恋人』(1928 年)における森の中の場面、谷崎潤一郎『春琴抄』『細雪』等における自然描写と性愛の連動、川端康成『雪国』における温泉地の自然描写など、屋外空間と性愛の主題的結合は近代文学の主要なテーマの一つを成してきた。

戦後のピンク映画ロマンポルノにおいても、屋外ロケが予算的制約と結びついて頻用される撮影手法となり、結果として屋外場面が当該ジャンルの定番要素として定着した。日活ロマンポルノの一部作品群における屋外場面の頻出は、当該ジャンルの美学的特徴の一つとして指摘される。

俗語としての「青姦」(あおかん、屋外性愛行為の意)は、戦後の俗語として広く流通した語形である。「青」は屋外の青空・青草に由来し、屋外行為の俗称として現在に至るまで用いられている要出典

関連項目

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参考文献

  1. 藤木TDC 『アダルトビデオ革命史』 幻冬舎新書 (2009)
  2. 前田雅英 『刑法各論』 東京大学出版会 (2015) — 公然わいせつ罪・公然性概念
  3. 井上章一・斎藤光・澁谷知美・三橋順子 編 『性の用語集』 講談社現代新書 (2004)
  4. Pat Califia 『Public Sex: The Culture of Radical Sex』 Cleis Press (2000) — 公的空間における性愛実践の社会学的考察

別名

  • 屋外プレイ
  • アウトドアセックス
  • al fresco sex
  • 屋外行為
  • 屋外性交
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