ジムの個別ブース、薄暗い壁の鏡、汗で湿ったTシャツの背中。マンツーマン指導の最中、フォームを直すために腰に置かれる手のひら、肩甲骨の位置を確認する手、後ろから抱えるように姿勢を直すトレーナーの体。本来の運動指導とは別の意味を帯び始める接触が、汗の匂いと荒い呼吸のなかで進行する。「もう少しここ意識して」と耳元で囁かれる声、鏡越しに合う目線、運動という名目の下で交わされる身体接触の蓄積が、施術系ジャンルとは別の温度を画面に作る。
スポーツトレーナーもの(すぽーつとれーなーもの)は、パーソナルトレーナー・スポーツコーチ・部活顧問・ヨガインストラクター・ダンス講師といった身体指導者と被指導者の関係を主題にした成人向け作品の総称である。本項ではアダルトビデオ・成人漫画・エロゲを横断するシチュエーションジャンルとしてのトレーナーものを扱う。
概要
スポーツトレーナーものは、職業ものAVのなかで「指導系」というサブカテゴリに属する。家庭教師もの・整骨院ものと並ぶ「身体指導の現場を性化するジャンル」として位置づけられる。学業指導(家庭教師)、医療類似行為(整骨院)、運動指導(トレーナー)はそれぞれ異なる正当化のロジックを持ち、性的接触の物語装置もそれぞれ独自に発達してきた。
舞台はフィットネスジム、パーソナルジム、ヨガスタジオ、ダンススクール、プール、運動場、部活動の練習場である。器具を用いる場面、マットの上での動作指導、鏡張りのスタジオ、こうした空間構造が画面構成の基盤となる。
演出記号
スポーツウェア
トレーナーものの中核衣装は、スポーツブラ・タンクトップ・レギンス・ショートパンツ・ジャージといった運動着である。汗を吸って肌に張り付くTシャツ、胸の形が出るスポーツブラ、脚のラインを強調するレギンス、こうした衣装記号はスポーツエロ・スポブラフェチと共通する。トレーナー側はジャージ・短パン・ポロシャツが定番で、フォーマルなスーツ系の女教師ものとは衣装方向が大きく異なる。
汗、紅潮した肌、運動後の荒い呼吸、こうした身体の生理反応が画面に直接記録される点も、施術系・指導系のなかでは独自の特徴である。
フォーム指導の接触
トレーナーものの中核演出は「フォーム指導のための身体接触」である。背後から腰を支える、肩の位置を直す、姿勢を後ろから抱えるように修正する、腿の角度を手で示す、こうした動作は実際のスポーツ指導でも用いられる接触で、その日常性が物語上の正当化を強固にする。
接触範囲が背中・腰・腿・肩へと拡張していく段階的演出が用いられ、「指導の延長」と「明確な性的接触」の境界が画面の温度の変化として描かれる。
マンツーマン・密室
パーソナルジムの個室、マッサージブース、貸切の練習場といった「マンツーマン専用空間」が舞台として頻繁に用いられる。フィットネスジムの集団指導とは異なり、個別指導の閉鎖空間が成立することが、ジャンルの物語装置の前提となる。
物語構造
女性トレーナー-男性会員
女性トレーナーが男性会員を指導する型は、姉系・年上女性ものとの接続を持つ。元アスリートの女性トレーナー、競技経験豊富な指導者、こうした人物造形が用いられる。指導者の専門性と性的役割の落差が画面の起伏を作る。
男性トレーナー-女性会員
逆方向のパターンとして、男性トレーナーが女性会員を指導する型もある。ダイエット目的のジム入会、産後の体型回復、運動不足解消、こうした入会動機が前段に配置され、徐々に進む関係発展が描かれる。人妻ものと組み合わさる場合は、専業主婦・働く既婚女性が主人公となる構成が多い。
部活顧問・コーチ
学校の部活動を舞台にする場合は、顧問・外部コーチと部員の関係が中心となる。合宿もの・スポーツエロと接続し、部活の練習場・更衣室・ロッカールームが舞台として動員される。元プロ選手・オリンピック経験者・大学コーチといった「権威性のある指導者」を主役にする作品は、指導関係の権力差を強調した作風になる。
ヨガ・ダンス
ヨガ・ピラティス・社交ダンス・ベリーダンスといった「身体接触を伴う指導」を題材にする作品もある。マットの上での密着、姿勢を密接に整える接触、鏡を見ながらの修正、こうした演出は通常のジムトレーナーとは別系統の感覚を画面に持ち込む。
隣接ジャンル
整骨院もの・マッサージプレイとは身体接触の演出を共有するが、トレーナーものは「能動的な運動」を伴う点で構造が異なる。客が受動的に施術を受ける整骨院ものに対し、トレーナーものは指導される側も身体を能動的に動かす点が、画面の運動量と汗の量に反映される。
家庭教師ものとは「マンツーマン指導」という装置を共有し、指導関係を性化する物語型を共通して用いる。学業指導と運動指導という主題の違いが、衣装・舞台・接触方向の違いに現れる。
受容心理
スポーツトレーナーものの中核的な訴求力は、現実のジム・スタジオ通いの経験と地続きの世界観にある。フィットネスブームのなかでパーソナルトレーニングを受けた経験を持つ視聴者層にとって、ジムのブース、トレーナーの掛け声、フォーム指導の接触は実体験として記憶されている。その記憶を物語空間で逸脱させる装置が、ジャンルの感情的な厚みを支える。
健康・ダイエット・美容というポジティブな入会動機と、その過程で生じる予期しない関係発展という構造は、人妻もの・OL系との組み合わせで頻繁に用いられる。社会的に承認された活動の延長線上で性的逸脱が起こる、という物語装置は、視聴者にとって受容しやすい入り口を提供する。
関連項目
最終更新
「スポーツトレーナーもの」の動画作品
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「スポーツトレーナーもの」の同人作品
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参考文献
- 『アダルトビデオ革命史』 幻冬舎 (2009)
- 『スポーツの社会学』 世界思想社 (2003)
- 『AV女優の社会学』 青土社 (2013)
別名
- スポーツトレーナーもの
- パーソナルトレーナーもの
- コーチもの
- sports trainer ero