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主人公が酒場で依頼を受け、仲間を集め、ダンジョンを探索し、ボスに勝てず敗北イベントを見て、レベルを上げて再挑戦する。ドラゴンクエスト以来の RPG の標準形式に、敗北系・捕獲系の性描写演出が組み込まれた成人向け同人ゲームが、2010 年代の DLsite ランキングを長期にわたって占有してきた。

エロ RPG(えろあーるぴーじー、RPG エロゲ、RPG ツクール作品、同人 RPG)とは、ロールプレイングゲーム(role-playing game, RPG)のターン制戦闘・キャラクター成長・冒険探索を基盤とする成人向けゲームの総称である。商業エロゲとしてはアリスソフト『ランス』シリーズ以来の伝統を持ち、同人領域では RPG ツクール・WOLF RPG エディター等の制作ツールの普及により、2010 年代に同人ゲーム市場の主軸ジャンルへと成長した。本項では成立経緯、典型構造、ゲームシステムと性描写の結合、隣接ジャンルとの関係を扱う。

概要

エロ RPG の中核には、(a) ターン制ないし簡易リアルタイムの戦闘システム、(b) キャラクターのレベル・装備・スキル等の成長要素、(c) フィールド・ダンジョン・街等の冒険探索構造、(d) 物語進行と並行する性描写場面の配置、が共通する。商業エロゲのノベル・アドベンチャー系作品とは対照的に、ゲーム進行の遊びとしての厚みを持つ点が特徴である。

同人ゲーム領域での発達が顕著で、エンターブレイン(現 KADOKAWA)の RPG ツクール・SmokingWOLF の WOLF RPG エディター(2008 年開発)の普及により、個人サークルが本格的な RPG を低コストで制作できる基盤が整った。低価格(1,000–2,500 円)・大ボリューム(20–100 時間)・典型的なファンタジー世界観の組み合わせが、安定したユーザー層を獲得し、DLsite・FANZA の月間売上ランキングで長期にわたって主軸を占める 要出典

代表的な構成様式として、(1) 「敗北系」(プレイヤーキャラクターが敵に敗北して性的辱めを受ける)、(2) 「街娼系」(街に立ち寄ると性的サービス・ミニゲーム)、(3) 「調教系」(キャラクターを段階的に変容させる)、(4) 「ハーレム系」(複数のヒロインを順次仲間化・関係構築)、(5) 「サキュバス・モンスター系」(異種族との関係)等が並列発達している。

語源

「RPG」は role-playing game の頭文字略号で、テーブルトーク RPG(『ダンジョンズ&ドラゴンズ』D&D 1974 年発売)以来のゲームジャンル名である。コンピュータ RPG は 1970 年代後半の『ローグ』『ウィザードリィ』『ウルティマ』、1986 年の『ドラゴンクエスト』(エニックス、現スクウェア・エニックス)を経て、日本でジャンル分類の標準用語として定着した。

「エロ RPG」「RPG エロゲ」は当該語と「エロ」「エロゲ」の単純な合成語で、業界呼称として 1990 年代から流通してきた。「同人 RPG」は同人領域での RPG 制作の総称で、成人向け・全年齢向けを問わず運用される広い概念だが、配信プラットフォーム(DLsite 等)の同人 RPG カテゴリの過半が成人向け作品であるため、文脈上は同人エロ RPG を指す慣用が定着している。

「RPG ツクール作品」は、エンターブレインの RPG 制作ツール「RPG ツクール」シリーズ(1990 年代から継続)で制作された作品を指す業界呼称である。RPG ツクール 2000(2000 年発売)、XP(2004)、VX(2007)、VX Ace(2011)、MV(2015)、MZ(2020)等の各バージョンで、成人向け同人 RPG が量産されてきた。

歴史

1980–1990 年代:商業エロ RPG の確立

商業エロ RPG の成立は、1980 年代後半から 1990 年代前半の家庭用 PC(NEC PC-8801、PC-9801 等)におけるファンタジー RPG エロゲの誕生に求められる。アリスソフト『ランス』(1989)、エルフ『ドラゴンナイト』(1989)等の作品が、当該時期の代表的初期事例である。

これらの作品は、剣と魔法のファンタジー世界観・RPG ゲームシステム・性描写を統合した複合作品として、後のエロ RPG の標準的構成様式を確立した。アリスソフト『ランス』シリーズは 1989 年から 2018 年完結まで 30 年にわたって継続展開し、エロ RPG の代名詞的シリーズとして広く認知される。

2000 年代前半:RPG ツクールの普及

2000 年代前半、エンターブレインの RPG ツクール 2000(2000 年発売)・XP(2004)が、家庭用 PC でアマチュア・個人開発者が本格的 RPG を制作できる環境を整えた。商業ゲーム業界経験を持たない個人クリエイターが、自宅 PC で長編 RPG を制作・配布できる基盤が成立した。

並行して、同人音楽・同人ゲーム市場の成立、コミケ・即売会での頒布慣行、初期 DLsite の同人ゲーム取り扱い開始等が並行して進行した。当該時期の代表的成人向け同人 RPG として、メフィスト☆『くノ一忍法帖』(2006)等が記憶される。

2010 年代前半:同人エロ RPG の隆盛

2010 年代に入ると、RPG ツクール VX(2007)・VX Ace(2011)、SmokingWOLF の WOLF RPG エディター(2008)の普及により、同人エロ RPG の制作環境が大幅に整備された。DLsite 同人ゲームカテゴリの月間売上ランキングで、エロ RPG が中核ジャンルとして固定化した。

低価格(1,000–2,500 円)・大ボリューム・典型的ファンタジー世界観を持つ作品が安定的に売れる構造が成立し、月間数十タイトル規模の新作が継続的に供給された。複数の作品が累計 30,000 本超の販売を記録するなど、市場規模の拡大が観察された 要出典

2010 年代後半:なろう系・異世界ものとの合流

2010 年代後半、なろう系異世界ものの急成長により、エロ RPG はゲーム的設定(ステータス・スキル・職業・レベル等)を強化した派生形態と部分的に合流した。「異世界転生 + ファンタジー RPG + ハーレム」の組み合わせが、なろう系作品のゲーム化・オリジナル設定の同人 RPG の双方で標準化した。

2020 年代:Steam・国際展開

2020 年代以降、Steam の成人向けタグ解禁、Itch.io・Patreon・DLsite English 等の国際プラットフォームの普及により、日本の同人エロ RPG の英訳・国際展開が進展した。RPG Maker(海外向け RPG ツクール)製作品の国際流通、英語圏インディー開発者による成人向け RPG の流入等、市場の双方向化が観察される。

典型構造

ゲームシステムの基本

エロ RPG の基本ゲームシステムは、(1) ターン制ないし ATB(Active Time Battle)型の戦闘、(2) レベル・経験値・装備・スキル等の成長要素、(3) フィールド・ダンジョン・街・宿屋等の冒険探索構造、(4) アイテム収集・買い物・装備変更等の RPG 標準要素、を備える。これらは商業 RPG(ドラクエ・FF 系列)の標準構成を継承したものである。

性描写との結合

性描写場面は、(a) 物語進行のイベントとして配置(街への到着、特定キャラクターの仲間化、ボス撃破等のトリガー)、(b) 戦闘敗北時のイベント(「敗北系」)、(c) 街・宿屋での選択的アクセス(性的サービスのミニゲーム化)、(d) 隠しイベント・収集要素として配置、等の方式で組み込まれる。

「敗北系」は、エロ RPG の代表的構成パターンで、プレイヤーキャラクターがゲーム内で敵に敗北すると性的辱めを受ける場面に移行する構造を持つ。当該構造はアクションエロゲと共有する成人向けゲーム特有の演出様式として定着している。

キャラクター類型

エロ RPG の主要キャラクター類型は、(a) 主人公(剣士・冒険者・勇者・若き王等)、(b) ヒロイン群(女騎士・魔法使い・エルフ・獣人・人間王女・シスター等)、(c) 悪役(魔王・盗賊・モンスター・領主等)、に類型化される。各類型に固有の役割・関係構造・性描写演出が確立している。

ハーレム構造

成人向けエロ RPG では、主人公が複数のヒロインと関係を結ぶハーレム構造が広く採用される。エルフ・獣人・人間・魔族・神族等の異種族横断的なハーレム構成、職業・身分(王女・騎士・シスター・冒険者等)横断的なハーレム構成等、世界観要素を活用したハーレム形成が定型として運用される。

周回プレイ・収集要素

エロ RPG は周回プレイ・収集要素を作品設計の中核に据えることが多い。複数ルート・複数エンディング・隠しイベント・隠しキャラクター等を整備し、プレイヤーに繰り返しのプレイを促す構造を持つ。性描写イベントの収集は当該構造の重要要素として機能し、CG 集ビューアー・回想モード等の標準実装が確立している。

派生形態と隣接概念

アクションエロゲとの差

アクションエロゲはリアルタイム操作を要件とするのに対し、エロ RPG はターン制・コマンド入力型を主軸とする点で構成上の差異がある。両ジャンルの中間領域(アクション RPG)も継続的に存在し、リアルタイム戦闘 + RPG 的成長要素の組み合わせ作品群が独立サブジャンルを形成している。

育成エロゲとの差

育成エロゲはキャラクター育成を主軸とするシミュレーション系で、エロ RPG の冒険・戦闘要素とは異なる遊びの構造を持つ。両ジャンルを統合する複合作品(RPG + 育成シミュレーション)も継続的に存在し、エロ RPG の派生形態として運用される。

ノベルゲーム・ADV との差

エロゲの主流であるノベル・アドベンチャー系作品は、テキスト主導の物語体験を中核とし、ゲームシステムを最小限に留める。エロ RPG は逆に、ゲームシステムの厚みを作品設計の主軸に据える点で、ノベル系作品とは異なる楽しみの構造を提供する。

サキュバス・モンスター娘系

サキュバス・モンスター娘等の異種族設定を活用したエロ RPG は、独立サブジャンルを形成している。当該系列は、ファンタジー世界観・RPG システム・異種族との関係を統合した代表的構成様式として、近年特に隆盛を迎えている。

商業エロゲとの差

商業エロゲ業界はノベル・アドベンチャー系を主流とし、RPG 系は限定的な比重に留まる。同人領域でエロ RPG が発達した背景には、(1) RPG ツクール等のツールが個人開発に親和的、(2) 商業 RPG 開発の工数が個人サークルでは賄えない、(3) ノベル系の市場成熟により同人開発者は差別化を求めて RPG 系へ流入、等の要因が指摘される 要出典

文化的言及

同人ゲーム市場の主軸

エロ RPG は同人ゲーム市場の主軸ジャンルとして、2010 年代以降の DLsite・FANZA 売上の中核を占める。長期的累積売上では、シリーズ展開された人気作品が累計数万本規模の販売を記録し、業界の継続的成長を牽引してきた。

RPG ツクール文化

エロ RPG の発達は、RPG ツクール・WOLF RPG エディター等の制作ツールの普及と不可分の関係にある。当該ツールは、商業ゲーム開発経験を持たない個人クリエイターに RPG 制作の道を開き、同人ゲーム文化全体の民主化に決定的な役割を果たした。RPG ツクール製の RPG が、商業 RPG の予算・体制では成立しないニッチな主題を扱う場として機能してきた点も、当該文化の特徴である。

国際展開

英語圏の RPG Maker コミュニティは、日本の同人エロ RPG とは独立した独自の発達を遂げてきた。日本の同人エロ RPG の英訳作品の流通、英語圏 RPG Maker 制作者による成人向け作品の流入等、市場の双方向交流が継続している。Itch.io・Patreon・Subscribestar 等の国際プラットフォームが、当該交流の主要基盤として機能する。

関連項目

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参考文献

  1. 更科修一郎ほか 『美少女ゲームの臨界点』 波状言論 (2004)
  2. 『RPGツクールとフリーゲームと同人ゲームについて』 note(オタク史) — RPG ツクール製成人向け同人ゲームの普及史 https://note.com/hogehoge_aichi/n/ncaf3f7f284e1
  3. 中川大地 『コンピュータゲームの神話学』 PLANETS (2016)
  4. 河島伸子 『コンテンツ産業論──混淆と伝播の日本型モデル』 ミネルヴァ書房 (2009)

別名

  • RPG エロゲ
  • RPG ツクール作品
  • 同人 RPG
  • eroge RPG
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