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インターセックス(英: intersex)とは、染色体・生殖腺(精巣/卵巣)・性ホルモン・外性器のいずれかまたは複数が、典型的な男性または女性の定義に当てはまらない状態に生まれた人、またはその状態の総称である。医学的には「性分化疾患(DSD: Differences/Disorders of Sex Development)」という用語が主に使われるが、当事者の権利運動からは「障害(Disorder)」という語を忌避する傾向があり、“Differences”という語に置き換える動きがある。

主な状態の種類

インターセックスには単一の状態ではなく、多様な医学的背景がある。

先天性副腎過形成(CAH: Congenital Adrenal Hyperplasia): 副腎でコルチゾール合成が障害され、代わりにアンドロゲン(男性ホルモン)が過剰産生される常染色体劣性遺伝疾患。XX染色体(遺伝的女性)の胎児で外性器の男性化(陰核の肥大・の閉鎖など)が起きる。最も頻度の高いインターセックス状態のひとつで、出生約1万5000人に1人とされる。

アンドロゲン不応症(AIS: Androgen Insensitivity Syndrome): XY染色体をもつが、アンドロゲン受容体の機能欠損によりテストステロンが組織に作用しない疾患。完全型(CAIS)では外見上女性の外性器をもって生まれ、精巣は腹腔内に留まり、女性として成長することが多い。部分型(PAIS)では外性器の性別が曖昧な状態で生まれる。

クラインフェルター症候群(XXY): 染色体構成が47,XXYの男性。精巣機能低下・不妊・女性化乳房が見られることが多い。

ターナー症候群(X0): 染色体構成が45,X0の女性。卵巣が発育せず低身長・不妊などを特徴とする。厳密にはインターセックスより性染色体異数性に分類されることが多いが、性分化の観点で関連して語られる。

5α-リダクターゼ欠損症: XY染色体の胎児でジヒドロテストステロン(DHT)産生が不全となり、出生時には女性様外性器をもつが、思春期にテストステロン増加で外性器が男性化する状態。ドミニカ共和国の一部地域で高頻度に見られることが調査された。

日本での状況と認知度

日本では「半陰陽」という語が以前は医学・法律の文脈で使われていたが、現在はインターセックス・性分化疾患(DSD)という語に置き換わりつつある。出生時に外性器の判別が困難な場合、かつては家族と医師の判断で早期に性別決定外科手術(生殖器形成術)が行われることが慣例であった。

インターセックスの出生頻度は、広い定義(染色体・ホルモン・外性器のいずれかが非典型)では総出生の約1.7%(Fausto-Sterling, 2000年)と推計されるが、外性器が明確に非典型な場合に絞ると0.02〜0.05%程度と推計値には幅がある。

出生時手術と人権問題

インターセックスをめぐる最大の倫理的問題は、本人の同意なく行われる幼少期の性別割り当て手術である。「社会に溶け込ませるため」「将来の苦痛を避けるため」という医師・親の意図で行われる外科的手術は、当事者から「同意なき身体改変」と批判されてきた。

国連人権理事会は2013年・2019年の報告書でインターセックスの子への不必要な手術を「有害な慣行」として非難し、当事者が判断能力を持つ年齢になるまで侵襲的処置を延期するよう勧告した。ドイツは2021年にインターセックスの子への不要な手術を原則禁止する法律を制定した。日本ではこうした立法的対応は未整備の状態が続いている。

フィクションにおける「ふたなり」との関係

日本語の「ふたなり」は、女性的外見をもちながら陰茎を持つキャラクター(架空のもの)を指すアニメ・漫画・同人誌の文脈での用語で、インターセックスとは根本的に異なる。ふたなりは「女性キャラが完全な男性外性器を持つ」フィクション的・誇張的な設定であり、実際のインターセックスの多様な状態とは別次元の概念である。両者を混同・同一視することは当事者にとって不適切とされる。


関連項目: ふたなり / 性ホルモン / / 陰茎

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別名

  • 性分化疾患
  • DSD
  • disorders of sex development
  • 半陰陽
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